Atarashift 企業向けブログ
外国人採用のための実務ガイド
在留資格の基礎から選考、入社後の定着まで。外国人材の採用に取り組む担当者の方へ、実務で使える情報をお届けします。
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外国人材を雇い入れるときの労働条件通知書を解説。必須の記載事項、2024年4月に加わった「変更の範囲」、多言語モデル様式、在留資格の申請との関係を整理します。
外国人材を雇い入れるときも、労働条件通知書の交付は日本人と同じく法律上の義務です。労働基準法第15条により、賃金や労働時間などの主な条件は書面で明示します。2024年4月からは、就業場所と業務の「変更の範囲」も記載事項に加わりました。
外国人材の場合は、さらに2つの点に注意が必要です。1つは、外国人雇用管理指針が、本人が理解できる方法での明示を求めていることです。もう1つは、就労系の在留資格の申請で、この通知書が提出書類になることです。この記事では、記載事項から在留資格との関係まで、企業が確認すべき点を順に整理します。
この記事のポイント
- 労働条件通知書は、国籍を問わず交付が必要です。明示しない場合、30万円以下の罰金の対象です。
- 2024年4月から、就業場所・業務の「変更の範囲」を全ての労働契約で明示します。
- 有期契約では、更新上限の有無と内容、無期転換の申込機会と転換後の条件も明示します。
- 指針は、母国語や平易な日本語など、本人が理解できる方法での明示を努力義務としています。
- 在留資格の申請では、この通知書を提出します。業務と報酬は、在留資格の要件と一致させます。
必要です。労働基準法第15条は、労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を明示するよう使用者に義務付けています。厚生労働省は、労働関係法令は国籍を問わず外国人にも適用されると説明しています。
明示は書面で行うのが原則です。本人が希望し、出力して書面にできる場合は、電子的な方法でも構いません。FAX、電子メール、SNSのメッセージ機能が該当します(労働基準法施行規則第5条)。
明示しなかった場合は、30万円以下の罰金の対象になります(同法第120条)。また、明示した条件が事実と異なる場合、本人は契約をすぐに解除できます。就業のために住居を変えた人が14日以内に帰郷する場合、企業は必要な旅費を負担します(同法第15条第2項・第3項)。
書面での明示が必要な事項は、労働基準法施行規則で決まっています。厚生労働省の「確かめよう労働条件」では、次のように整理されています。
| 項目 | 主な記載内容 |
|---|---|
| 契約期間 | 期間の定めの有無。有期の場合は始期と終期 |
| 更新の基準(有期のみ) | 更新の有無と判断の基準。更新上限がある場合はその内容 |
| 就業場所・業務 | 雇入れ直後の内容と、その変更の範囲 |
| 労働時間 | 始業・終業の時刻、所定外労働の有無、休憩、休日、休暇、交替制 |
| 賃金 | 決定・計算・支払の方法、締切日と支払日、昇給 |
| 退職 | 退職の手続きと、解雇の事由 |
このうち昇給だけは、書面でなくても構いません。退職手当、賞与、本人が負担する食費や作業用品、休職などは、会社に定めがあれば明示します。常時10人以上を雇う事業場では、就業規則の作成と届出も必要です(同法第89条)。
2024年4月1日から、労働基準法施行規則第5条の改正により、明示事項が4つ加わりました。厚生労働省のリーフレットでは、次のように示されています。
「変更の範囲」とは、将来の配置転換などで変わり得る就業場所と業務の範囲です。リーフレットでは、業務を「(雇入れ直後)一般事務(変更の範囲)○○事務」のように書く例が示されています。就業場所も「(雇入れ直後)東京本社(変更の範囲)○○支社」のように併記します。
更新上限は、最初の契約の後に新設・短縮する場合、その理由をあらかじめ本人に説明する必要があります。また、無期転換後の賃金などを決めるときは、正社員とのバランスを考慮した事項を説明するよう努めます。例として、業務の内容、責任の程度、異動の有無と範囲が挙げられています。
無期転換ルールは、労働契約法第18条に定められています。同じ企業との有期契約が通算5年を超えると、本人の申込みで無期契約に転換します。
労働条件の明示は、雇入れのときだけではありません。職業安定法により、求人票や募集要項でも、主な労働条件を書面などで明示します。2024年4月からは、募集の段階でも業務と就業場所の「変更の範囲」と、更新上限の明示が必要になりました。
募集の段階で明示する主な事項は、次のとおりです。
外国人雇用管理指針は、募集の段階の明示についても、本人が理解できる方法で行うよう努めることとしています。求人票と通知書の内容がずれていると、入社前の説明が難しくなります。求人票を作る時点で、通知書と同じ表現にそろえておくと確実です。
外国人雇用管理指針は、主な労働条件を書面で交付するよう求めています。そのうえで、外国人材が理解できる方法で明示するよう努めることとしています。方法の例は、母国語やその他の本人が使う言語、平易な日本語です。これは努力義務です。
厚生労働省は、外国人労働者向けのモデル労働条件通知書を公開しています。英語版は日本語と英語の併記です。2024年3月の版には、変更の範囲や更新上限の欄も入っています。中国語など、ほかの言語の版もあります。
実務では、日本語版と翻訳版を同時に渡す方法が確実です。内容が食い違った場合にどちらを優先するかも、通知書に書いておくと安心です。ひな形を改訂したときは、翻訳版も同じ日に更新します。
労働基準法は、労働契約を結ぶときに明示するよう定めています。内定を出して入社日が決まった段階で、通知書を交付するのが基本です。
海外から採用する場合は、時期に特に注意が必要です。在留資格認定証明書の交付申請では、この通知書を提出します。そのため、申請の前に通知書を作り、本人に交付しておく必要があります。留学生を新卒で採用する場合も、在留資格の変更申請の前に準備します。
出入国在留管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書の交付申請などで、この通知書の提出を求めています。提出書類の名称は「労働基準法第15条第1項及び同法施行規則第5条に基づき、労働者に交付される労働条件を明示する文書」です。
そのため、通知書の内容は在留資格の要件と合っている必要があります。確認したいのは、次の2点です。
変更の範囲にも注意が必要です。在留資格の範囲外の業務を書いても、本人はその業務に就けません。配置転換の可能性は、在留資格で認められる業務の中で書くのが実務的です。申請の流れは、在留資格認定証明書の申請の記事で解説しています。
固定残業代を採用する場合、厚生労働省は募集の段階で次の3点を明示するよう求めています。通知書にも同じ3点を書いておくと、説明の食い違いを防げます。
最低賃金の確認も欠かせません。固定残業代、通勤手当、家族手当、精皆勤手当、賞与は、最低賃金の計算に含めません。東京都の2026年度の最低賃金は、時間額1,280円です。
たとえば、月給25万円のうち5万円が30時間分の固定残業代だとします。残る20万円を所定労働時間160時間で割ると、1時間あたり1,250円です。この場合、東京都の最低賃金を下回ります。
試用期間は、その長さを通知書に書きます。試用期間中でも、14日を超えて雇用した後は解雇予告が必要です(労働基準法第21条)。30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払います。本採用を見送る場合も、客観的に合理的な理由が求められます。
海外に住む人を採用する場合、指針は募集条件の詳細をあらかじめ明確にするよう求めています。具体的には、渡航や帰国の費用を企業が負担するかどうかと、その負担割合です。住居の確保も含まれます。通知書や内定時の書面に、これらを書いておくと確実です。
パートタイムや有期で雇う場合は、パートタイム・有期雇用労働法第6条により、さらに次の5点を文書で明示します。
このうち「説明を求めることができる旨」は、2026年10月1日に加わった事項です。詳しくは、外国人雇用管理指針の改正の記事をご覧ください。
外国人材に労働条件通知書を渡す前に、次の8点を確認します。
中途採用の場合は、在留カードの確認や入社後の届出も必要です。手続きの全体は、外国人の中途採用の手続きの記事にまとめています。
法律が求めているのは、必要な事項を書面で明示することです。雇用契約書に必要な事項がすべて書かれていれば、1通で兼ねることもできます。「労働条件通知書兼雇用契約書」として交付する企業も多くあります。
指針は、本人が理解できる方法での明示を求めています。日本語版と翻訳版を一緒に渡し、食い違った場合に優先する版を決めておくと確実です。厚生労働省の英語版モデル様式は、日本語との併記になっています。
本人が希望し、出力して書面にできる形式であれば構いません。FAXやSNSのメッセージ機能も同じです。本人が希望したことは、記録に残しておくと安心です。
改正後の事項は、2024年4月以降の契約の締結時と、有期契約の更新時に明示します。有期契約で雇っている外国人材には、次の更新時に新しい事項を加えます。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書の交付申請などでは、労働契約を結ぶ場合の提出書類になっています。通知書の業務と報酬は、申請書の記載と一致させます。
通知書の準備と並行して、採用したい人材に出会う方法を整えることも大切です。Atarashiftでは、日本で働きたい海外の人材とつながる方法をご案内しています。
労働条件の明示義務、即時解除、旅費の負担、罰則は、労働基準法第15条と第120条(e-Gov法令検索)によります。書面で明示する事項と電子的な方法での明示は、厚生労働省の「労働条件の明示」のページ(確かめよう労働条件)によります。就業規則の作成義務は、同法第89条によります。募集の段階で明示する事項は、職業安定法第5条の3と、厚生労働省のリーフレット「2024年4月から、労働者の募集や職業紹介事業者への求人の申込みの際、明示しなければならない労働条件が追加されます」によります。
2024年4月の改正事項と記載例は、厚生労働省のリーフレット「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」(2024年9月版)によります。無期転換ルールは、労働契約法第18条(e-Gov法令検索)によります。
外国人材への明示の方法、採用時の確認、海外から採用する場合の募集条件は、厚生労働省のリーフレット「外国人雇用はルールを守って適正に」に収録された外国人雇用管理指針の内容によります。英語版のモデル労働条件通知書は、同省の「外国人労働者向けモデル労働条件通知書(英語)」によります。
在留資格認定証明書の提出書類は、出入国在留管理庁の「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」のページによります。報酬の基準は、同庁の「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」によります。
固定残業代の明示は、厚生労働省のリーフレット「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」によります。最低賃金に算入しない賃金は、同省の「最低賃金制度」のページによります。東京都の最低賃金は、同省の「令和8年度地域別最低賃金改定状況」によります。
試用期間中の解雇予告の扱いは、労働基準法第20条・第21条によります。本採用拒否の考え方は、厚生労働省の「試用期間」(裁判例)のページによります。パート・有期で雇う場合の明示事項は、パートタイム・有期雇用労働法第6条と同法施行規則第2条(e-Gov法令検索)によります。
すべての制度の内容は、Atarashift編集部が一次情報で確認しました。この記事は一般的な情報であり、個別の案件の判断は労働基準監督署や出入国在留管理庁などにご確認ください。情報は2026年10月15日時点のものです。
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