Atarashift 企業向けブログ
外国人採用のための実務ガイド
在留資格の基礎から選考、入社後の定着まで。外国人材の採用に取り組む担当者の方へ、実務で使える情報をお届けします。
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外国人採用でN1は本当に必要か。主要企業の採用基準、職種別の目安、2026年4月からの在留資格審査での語学力の扱いまで、日本語レベルの決め方を解説します。
外国人採用でN1が必要かどうかは、職種によって決まります。日本語で顧客対応や社内調整を行う職種なら、N2以上が現実的な目安です。英語や専門技術で仕事が進む職種では、JLPTを条件にしない企業も約3割あります。
大切なのは、レベルを一律に決めることではありません。その職務で日本語を「誰と」「何のために」使うのかから逆算することです。この記事では、主要企業の採用基準のデータと、2026年4月からの在留資格審査での語学力の扱いをもとに、日本語レベルの決め方を整理します。
この記事のポイント
- 主要企業486社の調査では、留学生の採用時にN1を求める企業が40.2%、N2が20.5%、JLPTの基準を設けていない企業が32.6%でした。
- 面接をすべて日本語で行う企業は87.9%にのぼります。
- 採用の課題の1位は「求める日本語コミュニケーション能力を有する人材が少ない」で、52.3%の企業が挙げました。
- 2025年12月試験のN1合格者は、国内外あわせて36,124人です。N1を必須にすると、候補者は大きく絞られます。
- 2026年4月15日から、語学を主に使う対人業務ではCEFR B2相当(JLPT N2以上など)が在留資格の前提になりました。
日本語能力試験(JLPT)は、日本語を母語としない人の日本語力を測る試験です。N1からN5までの5段階で、N1が最も難しいレベルです。主催者は、各レベルの目安を次のように示しています。
| レベル | 認定の目安(主催者の説明) | 業務のイメージ |
|---|---|---|
| N1 | 幅広い場面で使われる日本語を理解することができる | 日本語での営業、交渉、文書作成 |
| N2 | 日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる | 社内会議、メール、定型的な顧客対応 |
| N3 | 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる | チーム内は英語、日常の連絡は日本語 |
| N4 | 基本的な日本語を理解することができる | 日本語をほぼ使わない業務 |
| N5 | 基本的な日本語をある程度理解することができる | 日本語をほぼ使わない業務 |
「業務のイメージ」は、Atarashift編集部による一般的な目安です。実際には、同じN2でも会話力には大きな差があります。
株式会社キャリタスが2024年12月に主要企業486社から回答を得た調査では、外国人留学生の採用時のJLPT基準は次のとおりでした。
N1かN2を求める企業は、あわせて60.7%です。一方で、N3・N4を基準にする企業は合計6.8%にとどまります。基準を設けるならN2以上、設けないなら面接で判断する、という二極化が見て取れます。
選考の言語も日本語が中心です。面接をすべて日本語で行う企業は87.9%、適性検査をすべて日本語で行う企業は81.2%でした。ビジネス上級レベル以上の日本語を求める企業は、内定時は文系で47.5%ですが、入社後は70.3%に上がります。理系でも44.1%から67.5%に上がります。
なお、この調査の対象は日本の大学・大学院で学ぶ留学生の新卒採用です。海外から採用する場合や、中途採用では、条件が異なることがあります。
候補者が大きく絞られます。2025年12月のJLPTでは、N1の受験者121,233人のうち、合格者は36,124人でした。合格率は29.8%です。国内外をあわせても、1回の試験で生まれるN1合格者はこの規模です。
採用の現場でも、日本語力は最大の壁です。同じキャリタスの調査では、外国人社員の採用の課題として「求める日本語コミュニケーション能力を有する人材が少ない」を挙げた企業が52.3%で、最も多くなりました。
実際に日本で働く外国人材の日本語力にも幅があります。厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」で、「技術・人文知識・国際業務」で働く人の会話力を見てみます。「母語と同等」は5.3%、「幅広い話題について自由に会話できる」は31.6%でした。専門職として働く外国人材の多くは、ネイティブ並みではない日本語で成果を出しています。
N1を条件にするかどうかは、「N1でなければ本当に業務が回らないか」で判断するのが合理的です。専門性の高い人材を、日本語の条件だけで取り逃がしている可能性もあります。
日本語を使う相手と目的で考えると、条件を決めやすくなります。以下は編集部による目安です。
| 職種・業務 | 日本語の使い方 | 求めるレベルの目安 |
|---|---|---|
| 日本語での営業、顧客折衝 | 社外の日本人と敬語で交渉する | N1、または面接で敬語を確認 |
| 事務、企画、社内調整の多い職種 | 社内の会議、メール、資料作成 | N2以上 |
| 翻訳・通訳、ホテルフロントなどの接客 | 語学力そのものが業務の中心 | N2以上(在留資格上、B2相当が前提) |
| エンジニア、研究職(チーム内の共通語が英語) | 日常の連絡や生活場面が中心 | 基準なし〜N3、入社後に学習支援 |
ポイントは、「必須」と「歓迎」を分けることです。例えば、入社時はN3で可とし、入社後2年でN2を目指す支援をする、という設計もできます。日本語学習の支援は、2026年の外国人雇用管理指針の改正で、事業主の努力義務として明記されました。詳しくは外国人雇用管理指針の改正に関する記事をご覧ください。
「技術・人文知識・国際業務」で、主に語学力を使う対人業務に就く場合、CEFR B2相当の語学力が前提になりました。対象は、翻訳・通訳や、ホテルフロントなどの接客が中心の業務です。2026年4月15日以降の申請から適用されています。
所属機関がカテゴリー3・4の企業は、申請時に語学力の証明資料を提出します。カテゴリー1・2の企業も、審査の過程で求められることがあります。日本語の場合、次のいずれかに当たればB2相当とみなされます。
エンジニアや事務職など、語学を主に使う業務でない場合は、原則として提出は不要です。ただし、業務内容によっては提出を求められることがあります。
日本の大学を卒業した留学生を採用する場合は、「特定活動(46号)」という在留資格も選べます。高い日本語力を生かす業務であれば、接客を含む幅広い業務に就けるのが特徴です。この在留資格では、JLPT N1またはBJT480点以上が要件です。申請の流れは在留資格認定証明書(COE)の記事で解説しています。
英語や中国語を使う対人業務でも、CEFR B2相当が前提です。出入国在留管理庁は、次のいずれかに当たればB2相当と評価するとしています。
英語を社内の共通語にしている職場では、日本語の条件を下げ、英語力と専門性で採用する方法もあります。その場合も、生活や社内の連絡で日本語を使う場面は残ります。入社後の日本語学習の支援とセットで考えると、採用の幅と定着の両方につながります。
JLPTは「読む」「聞く」を測る試験で、「話す」「書く」力は測りません。N2を持っていても会話が苦手な人もいれば、JLPTを受けていなくても流暢に話せる人もいます。
確かめる方法は、次の3つが実用的です。
高度専門職のポイント計算では、N1またはBJT480点以上で15点、N2またはBJT400点以上で10点が加算されます。候補者が高度専門職を目指す場合は、日本語力がそのまま在留資格の条件に影響します。
職種によります。日本語で営業や顧客折衝を行う職種ではN1が目安になりますが、主要企業の32.6%はJLPTの基準を設けていません。英語が共通語のエンジニア職などでは、JLPTを条件にしない選択肢もあります。
N1は「幅広い場面で使われる日本語を理解できる」レベルです。N2は、日常的な場面に加えて、より幅広い場面の日本語を「ある程度」理解できるレベルです。社内会議やメールはN2、社外との交渉や高度な文書作成はN1が目安です。
「技術・人文知識・国際業務」には、原則として日本語レベルの要件はありません。ただし、2026年4月15日以降、翻訳・通訳や接客など語学を主に使う対人業務では、CEFR B2相当(JLPT N2以上など)が前提になりました。
JLPTの認定に有効期限はありません。ただし、取得から年数がたっている場合は、面接で現在の日本語力を確認するのが確実です。
「N2以上」とだけ書くより、使う場面を具体的に書くのが効果的です。例えば「社内会議は日本語、資料は英語可」のように書くと、応募者が自分に合うかを判断しやすくなります。
日本語・英語のレベルを明確にしたうえで外国人材の採用を進めたい企業は、Atarashiftで、日本で働きたい海外人材とつながる方法もご覧ください。
企業のJLPT基準は、株式会社キャリタスの「2026年卒 外国人留学生の就職活動に関する調査」(2025年8月発行)が参考データとして掲載している、同社の企業調査(2024年12月)の結果です。選考の言語、求める日本語レベル、採用の課題は、同社の「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査」によります。調査は全国の主要企業22,404社を対象に行われ、486社が回答しました。
JLPTの認定の目安は、上記の留学生調査に掲載された説明によります。受験者数と合格者数は、日本語能力試験の公式サイトの「2025年第2回(12月)試験の結果」の国内と海外の数値を編集部が合算したものです。認定の有効期限がないことは、JLPTのよくある質問によります。
外国人材の会話力は、厚生労働省「令和6年外国人雇用実態調査」(2025年8月29日公表)の第14表によります。在留資格の審査での語学力の扱い(日本語以外の言語を含む)は、出入国在留管理庁の「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」のページと、「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」の別紙4によります。「特定活動(46号)」の要件は、同庁の日本の大学等を卒業した人を対象とする特定活動のページによります。高度専門職のポイントは、同庁の「高度人材ポイント制の加点対象となる日本語能力一覧」によります。情報は2026年9月30日時点のものです。
2025年10月末の外国人労働者数は257万1,037人で過去最多。厚生労働省の届出状況をもとに、推移と在留資格・国籍・産業・地域別の内訳、企業が読み取るべきポイントを解説します。
外国人社員の定着を妨げる要因を、厚生労働省の調査データから整理。入社前の説明、相談窓口、日本語学習、生活支援など、入社後1年で企業ができることを解説します。
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