Atarashift 企業向けブログ
外国人採用のための実務ガイド
在留資格の基礎から選考、入社後の定着まで。外国人材の採用に取り組む担当者の方へ、実務で使える情報をお届けします。
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外国人社員の退職時に会社が行う届出と期限を一覧表で整理します。ハローワークへの届出、本人が14日以内に行う入管への届出、在留資格への影響、帰国時の年金と住民税の説明まで解説します。
外国人社員が退職するとき、会社は日本人社員と同じ退職手続きに加えて、ハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行います。雇用保険の被保険者なら、資格喪失届に在留カード番号などを記入し、離職日の翌日から10日以内に提出します。被保険者でない場合は、外国人雇用状況届出書を離職の翌月末日までに提出します。
一方、出入国在留管理庁への「所属(契約)機関に関する届出」は、社員本人が14日以内に行う必要があります。会社は本人に届出の方法を伝え、退職後の在留資格への影響や、帰国する場合の年金・住民税の扱いを説明します。この記事では、厚生労働省、出入国在留管理庁、日本年金機構の資料と法令をもとに、手続きを順に整理します。
この記事のポイント
- ハローワークへの届出は会社の義務です。被保険者は資格喪失届で離職日の翌日から10日以内、被保険者でない人は翌月末日までです。届出をしないと30万円以下の罰金の対象です。
- 入管への「所属機関に関する届出」は本人が14日以内に行います。ハローワークに届け出る会社は、入管への受入れ終了の届出は不要です。
- 「特定技能」の社員が退職したときは、会社が14日以内に特定技能雇用契約の終了を入管へ届け出ます。
- 「技術・人文知識・国際業務」などの社員が正当な理由なく3か月以上活動しないと、在留資格の取消しの対象になり得ます。
- 帰国する社員には、転出届、在留カードの返納、脱退一時金(出国後2年以内に本人が請求)を案内します。
まず全体像を確認します。下の表は、外国人社員の退職時に発生する主な届出と手続きを、担当者と期限ごとにまとめたものです。日本人社員と共通の手続きも、外国人社員ならではの注意点があるため表に含めています。
| 届出・手続き | 届出者 | 提出先 | 期限 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| 雇用保険被保険者資格喪失届(在留カード番号などを記載。外国人雇用状況の届出を兼ねる) | 会社 | 事業所を管轄するハローワーク | 離職日の翌日から10日以内 | 労働施策総合推進法第28条、雇用保険法施行規則第7条 |
| 外国人雇用状況届出書(様式第3号。雇用保険の被保険者でない人) | 会社 | ハローワーク | 離職の翌月末日 | 労働施策総合推進法第28条 |
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格喪失届 | 会社 | 事務センターまたは年金事務所 | 事実発生から5日以内 | 日本年金機構の手続案内 |
| 源泉徴収票の交付 | 会社 | 本人 | 退職日以後1か月以内 | 所得税法第226条 |
| 退職証明書(本人が請求した場合) | 会社 | 本人 | 遅滞なく | 労働基準法第22条 |
| 特定技能雇用契約の終了の届出(「特定技能」のみ) | 会社 | 地方出入国在留管理官署 | 契約終了日から14日以内 | 入管法第19条の18 |
| 所属(契約)機関に関する届出 | 本人 | 出入国在留管理庁 | 契約終了日から14日以内 | 入管法第19条の16 |
| 転出届(国外へ転出する場合) | 本人 | 住所地の市区町村 | 転出前 | 住民基本台帳法第24条 |
| 在留カードの返納(再入国許可なしで出国する場合) | 本人 | 出国する空港・港 | 出国時 | 入管法第19条の15 |
| 脱退一時金の請求 | 本人 | 日本年金機構など | 出国後2年以内 | 日本年金機構の手続案内 |
会社の義務は表の上から6つです。下の4つは本人の義務や権利ですが、知らないまま退職する人も少なくありません。退職面談の際に、表の内容を本人と一緒に確認すると漏れを防げます。
外国人雇用状況の届出は、労働施策総合推進法第28条に基づく事業主の義務です。外国人の雇入れと離職のたびに、氏名、在留資格、在留期間などを確認して届け出ます。対象は、在留資格「外交」「公用」と特別永住者を除くすべての外国人です。
「永住者」や「日本人の配偶者等」など、身分に基づく在留資格の社員も対象です。厚生労働省のQ&Aでは、日本国籍を取得していない限り届出が必要とされています。
雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)に必要事項を記入すれば、外国人雇用状況の届出を行ったことになります。表面の住所欄に加えて、裏面の14〜19欄に国籍・地域や在留資格などを記入します。期限は、離職日の翌日から起算して10日以内です。
2020年(令和2年)3月1日以降に雇入れ・離職した外国人は、在留カード番号の記入が必要です。在留カード番号は、カードに記載された12桁の英数字です。届出の際に、在留カードの写しを添付する必要はありません。
本人が離職票の交付を希望する場合は、資格喪失届に離職証明書を添えます。離職の日に59歳以上の人は、希望の有無にかかわらず離職証明書が必要です。
雇用保険の被保険者でない外国人は、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出します。期限は、雇入れ・離職ともに翌月末日です。留学生のアルバイトも届出の対象です。
短期間に雇入れと離職を繰り返した場合は、1枚の届出書にまとめて届け出られます。様式には、雇入れ日と離職日を複数記入できる欄があります。
届出をしなかった場合や、虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象です(労働施策総合推進法第50条)。厚生労働省のQ&Aでは、指導や勧告の対象にもなるとされています。
電子申請もできます。被保険者の資格喪失届はe-Govから、様式第3号は「外国人雇用状況届出システム」から提出します。なお、厚生労働省は、2027年(令和9年)4月1日から使用する新しい様式第3号を、ウェブサイトにすでに掲載しています。
入管への届出は、原則として本人が行います。会社が行うのは、後述する「特定技能」の場合などに限られます。
入管法第19条の16により、就労系の在留資格を持つ社員は届出が必要です。勤務先との契約が終了した日から14日以内に、出入国在留管理庁へ届け出ます。対象は「技術・人文知識・国際業務」「研究」「介護」「興行」「技能」「特定技能」と、「高度専門職」の一部です。
「企業内転勤」「経営・管理」「教育」などの社員は、「所属(活動)機関に関する届出」を行います。根拠は同条の別の号で、期限は同じく14日以内です。
届出の方法は、電子届出システム、窓口、郵送の3つです。電子届出システムなら24時間オンラインで届け出られます。届出事項を証明する資料の提出は不要です。届出をしなかった場合は、20万円以下の罰金の対象になります(入管法第71条の5)。
転職先が決まっている場合は、契約終了と新たな契約締結を1枚の様式(参考様式1の7)でまとめて届け出ると便利です。会社としては、退職手続きの案内に出入国在留管理庁の該当ページを添えておくと親切です。
入管法第19条の17では、所属機関が受入れの開始と終了を届け出る努力義務が定められています。ただし、外国人雇用状況の届出が義務付けられている事業主は、この届出の対象外です。つまり、ハローワークに届け出る一般の企業は、入管への受入れに関する届出は不要です。
「特定技能」の社員を受け入れている会社(特定技能所属機関)には、入管への届出義務があります。特定技能雇用契約が終了した日から14日以内に、「特定技能雇用契約に係る届出」を提出します(入管法第19条の18)。届出事項は、契約を終了した年月日と終了の事由です。
終了の事由が「雇用契約の終期到来」以外の場合は、「受入れ困難に係る届出」も必要です。まだ契約が終了していない段階では、「受入れ困難に係る届出」だけを先に提出します。
この届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象です(入管法第71条の4)。提出先は、本店の住所を管轄する地方出入国在留管理官署で、電子届出システムも使えます。
なお、本人による「所属(契約)機関に関する届出」も別に必要です。在留資格ごとの違いは、「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の違いで解説しています。
退職しても、在留資格がすぐに失われるわけではありません。在留カードに記載された在留期限までは、日本に在留できます。ただし、就労系の在留資格は、その活動を続けることが前提です。
入管法第22条の4第1項第6号により、在留資格に応じた活動を3か月以上続けて行わないと、取消しの対象になり得ます。ただし、正当な理由がある場合は除きます。「高度専門職」2号の場合は6か月です。
この規定は、入管法別表第一の在留資格が対象です。「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」など、身分に基づく在留資格は、この3か月の規定の対象ではありません。ただし、配偶者としての活動を6か月以上行わない場合の取消し規定は別にあります(同項第7号)。
取消しの前には、入国審査官による意見の聴取があります。取消しが決まった場合は、30日を上限として出国のための期間が指定されます。会社が取消しの見通しを判断することは難しいため、不明な点は本人から入管へ相談するよう案内します。
転職先が決まった社員は、「就労資格証明書」の交付を申請できます。新しい勤務先での活動が、現在の在留資格で認められることを証明する文書です。申請は任意で、手数料は許可時に2,000円(オンライン申請は1,600円)です。
標準処理期間は当日ですが、勤務先を変えた場合などは1か月〜3か月とされています。なお、就労できる活動が明らかな場合、証明書の不提示を理由とする不利益な扱いは禁止です。根拠は入管法第19条の2第2項です。受け入れる側の確認手順は、外国人の中途採用の手続きをご覧ください。
厚生労働省の外国人雇用管理指針は、会社の都合で離職する外国人材が再就職を希望する場合の援助を定めています。指針では、会社は関連企業へのあっせんや求人情報の提供などに努めることとされています。在留資格に応じた再就職ができるよう、ハローワークと連携します。
在留期間が更新されず雇用関係を終了する場合の対応も定めています。この場合も、帰国手続きの相談などの援助に努めることとされています。
社会保険と税金の手続きは、日本人社員と同じです。違いは、制度に慣れていない社員が多いため、説明を丁寧に行う必要がある点です。指針は、労働・社会保険の手続きについて、外国人材が理解できる方法で周知するよう求めています。
健康保険・厚生年金保険の資格喪失届は、事実発生から5日以内に日本年金機構へ提出します。協会けんぽの場合は、交付している資格確認書などを添付します。回収できない場合は、資格確認書回収不能届を添えます。
指針は、書面の資格確認書を交付している外国人材が離職したときは、遅滞なく回収するよう求めています。あわせて、国民健康保険や国民年金の手続きが必要になる場合は、その旨を伝えるよう努めます。
雇用保険については、離職票の交付などの手続きを行います。そのうえで、失業等給付を受けるためのハローワークの窓口を案内するよう努めます。
源泉徴収票は、退職日以後1か月以内に本人へ交付します。年の途中で退職した人は、原則として年末調整の対象になりません。例外は、12月の給与を受けた後に退職した人などです。
同じ年に再就職した場合、次の勤務先が前職の源泉徴収票をもとに、前職分も含めて年末調整を行います。源泉徴収票を提出できないときは、本人が確定申告で精算します。源泉徴収票を大切に保管するよう、本人に伝えておきます。
住民税を給与から特別徴収している場合、退職後の残りの税額の扱いは退職の時期で変わります。地方税法第321条の5第2項の定めは次のとおりです。
いずれの場合も、会社は市町村長に「特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を提出します。給与の支払を受けなくなった社員についての届出です。提出の時期と方法は、各市区町村の案内で確認します。
本人が使用期間、業務の種類、賃金、退職の事由などの証明書を請求した場合は、遅滞なく交付します(労働基準法第22条)。本人が請求していない事項は記入できません。
本人から請求があれば、7日以内に賃金を支払い、本人の権利に属する金品を返還します(同法第23条)。指針は、旅券や在留カードを会社が保管しないことも求めています。
退職後に日本を出国する社員には、在留と年金の手続きを追加で案内します。いずれも本人が行う手続きですが、事前に知らないと出国後の手続きが難しくなります。
国外へ転出する場合も、あらかじめ市区町村に転出届を提出します(住民基本台帳法第24条)。転出届を出しておくと、後述する脱退一時金の請求で、日本に住所がないことを示す書類が原則不要になります。
在留カードは、再入国許可を受けずに出国すると、出国の確認を受けた時点で効力を失います(入管法第19条の14)。この場合、出国する空港や港で直ちに返納します。再入国許可やみなし再入国許可を受けて出国する場合は、この扱いになりません。みなし再入国許可の期限は出国から1年で、在留期限が先ならその日までです。
日本国籍を持たない人は、公的年金の資格を喪失して出国した後、一定の要件を満たせば脱退一時金を請求できます。日本年金機構によると、厚生年金保険の加入期間が6か月以上あることなどが要件です。請求は、日本に住所を有しなくなった日から2年以内です。
2021年4月から、支給額の計算に使う月数の上限が36か月から60か月に引き上げられました。国民年金の場合、最後の納付月が2026年度(令和8年度)で、納付済期間等が60か月以上なら53万7,600円です。日本年金機構の2026年4月1日更新の資料によります。
指針は、被保険者期間が一定以上の外国人材が帰国する場合、脱退一時金を請求できることを帰国前に説明するよう求めています。年金事務所などの窓口も案内します。請求は本人(または委任を受けた代理人)が行います。
個人住民税は、1月1日を賦課期日として、市区町村内に住所がある人に課されます(地方税法第294条、第318条)。その年の1月1日に住所があれば、年の途中で出国しても、その年度の住民税は納める必要があります。
出国後に納付が残る場合は、原則として納税管理人を定め、市町村長に申告します(同法第300条)。退職時の一括徴収で精算できるかどうかを、本人と先に確認しておくと安心です。
気づいた時点で、管轄のハローワークに相談のうえ速やかに届け出てください。届出をしなかった場合は、指導や勧告の対象となるほか、30万円以下の罰金の対象とされています。雇用保険の被保険者なら、資格喪失届に在留カード番号などを記入して提出します。
届出者は本人と定められています。会社が代わりに出す義務はありません。ただし、本人が知らずに期限を過ぎると罰金の対象になり得るため、退職前に方法と期限を伝えておくと安心です。
必要です。雇用保険の被保険者でないことが多いため、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を離職の翌月末日までに提出します。短期間で採用と退職が重なった場合は、まとめて届け出ることもできます。
すぐに帰国する必要はありません。在留期限までは在留できます。ただし、就労系の在留資格で、正当な理由なく3か月以上その活動を行わないと、在留資格の取消しの対象になり得ます。
脱退一時金は、本人が出国後に日本年金機構へ請求する手続きです。代理人が請求する場合は委任状が必要です。会社は、制度と請求期限を帰国前に説明し、年金事務所などの窓口を案内します。請求期限は、日本に住所を有しなくなった日から2年以内です。
外国人社員の退職では、会社がハローワークへ届け出る義務と、本人が入管へ届け出る義務を分けて管理することが大切です。そのうえで、在留資格への影響と、帰国時の年金・住民税を本人に説明します。冒頭の表を退職時のチェックリストとして使うと、漏れを防げます。
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本記事は一般的な情報の提供を目的としています。個別の事案は、ハローワーク、地方出入国在留管理官署、年金事務所、または社会保険労務士・行政書士にご確認ください。内容は2026年11月8日時点の各機関の資料と法令で確認しています。
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