Atarashift 企業向けブログ
外国人採用のための実務ガイド
在留資格の基礎から選考、入社後の定着まで。外国人材の採用に取り組む担当者の方へ、実務で使える情報をお届けします。
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育成就労制度は2027年4月1日に始まり、技能実習制度に代わります。技能実習との違い、企業の要件、転籍のルール、経過措置と、施行日までに企業がやることを日付順に解説します。
育成就労制度は、2027年4月1日に始まる新しい在留資格の制度です。技能実習制度に代わり、人手不足の17分野で、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで外国人材を育成します。
企業にとっての大きな変化は3つあります。本人の意向による転籍、段階ごとの日本語能力の目標、送出機関への費用の上限です。受け入れには、施行日前に育成就労計画の認定申請を行う必要があります。
この申請は、育成就労を開始する予定日の7か月前から5か月前までに行います。2027年4月1日に開始する場合は、2026年9月1日から11月1日までが申請期間となる計算です。この記事では、制度の要点と、施行日までに企業がやることを日付順に整理します。
この記事のポイント
- 育成就労制度は2027年4月1日に運用を開始し、技能実習制度に代わります。対象は17分野、期間は原則3年です。
- 本人の意向による転籍が、分野ごとに1年から2年の転籍制限期間を過ぎると認められます。
- 送出機関に外国人材が支払う費用は月給の2か月分までで、超える分は企業又は監理支援機関が負担します。
- 育成就労計画の施行日前申請は2026年9月1日に始まりました。開始予定日の7か月前から5か月前までに申請します。
- 施行日に在留中の技能実習生は、引き続き技能実習を続けられます。
育成就労制度は、人手不足分野での人材の育成と確保を目的とする制度です。外国人材は原則3年間働きながら技能と日本語を身に付け、特定技能1号の水準を目指します(出入国在留管理庁)。
根拠となる改正法は2024年6月21日に公布されました。施行日は、2025年10月1日に公布された政令で2027年4月1日と定められています。
受け入れ対象の分野は、特定技能の19分野のうち17分野です。自動車運送業と航空の2分野は、育成就労の対象になっていません。分野ごとに受入れ見込数が定められ、これが受け入れの上限として運用されます。
育成就労の受入れ見込数は、2029年3月末までに合計42万6,200人です。分野別では、建設の12万3,500人、工業製品製造業の11万9,700人、飲食料品製造業の6万1,400人が大きくなっています。
比較のために、2025年末時点の在留資格「技能実習」の在留者数は456,618人でした(出入国在留管理庁、2026年)。
最も大きな違いは制度の目的です。技能実習は技能移転による国際貢献を目的としていました。育成就労は、日本の人手不足分野で働く人材の育成と確保を正面から目的に掲げています。
この目的の違いから、外国人材を労働者として保護する仕組みが強化されました。主な違いは次のとおりです。
| 項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
|---|---|---|
| 目的 | 技能移転による国際貢献 | 人手不足分野の人材育成と確保 |
| 期間 | 1号から3号まで、最長5年 | 原則3年(1つの計画で認定) |
| 本人意向の転籍 | 原則不可 | 転籍制限期間の経過後に可 |
| 日本語の要件 | 介護など一部の職種を除き、入国時の要件なし | 就労開始前にA1相当、修了時にA2.2相当 |
| 送出機関への費用 | 上限なし | 月給の2か月分まで |
| 受け入れの上限 | 分野ごとの上限なし | 分野ごとの受入れ見込数を設定 |
| 前職要件・帰国後従事要件 | あり | なし |
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」「分野別運用方針の主要な記載事項」。
技能実習では1号から3号まで段階ごとに計画の認定が必要でした。育成就労では、当初から3年間の計画を1つ作成し、外国人育成就労機構の認定を受けます。
監理団体の役割は、監理支援機関が引き継ぎます。ただし、監理団体の許可は自動的に引き継がれません。監理支援機関として新たに許可を受ける必要があります。
育成就労は、特定技能1号への移行を前提に設計されています。3年間の修了時に、次の2つの試験に合格することが目標です。
技能実習との違いに注意が必要です。現在は、技能実習2号を良好に修了すれば、特定技能1号への移行時に試験が免除されます。育成就労からの移行では、この免除はありません。試験に不合格の場合は、最長1年の範囲で在留の継続が認められる方針です。
技人国と特定技能の違いは、「技人国と特定技能の違い」で詳しく解説しています。
育成就労実施者(受け入れ企業)の要件は、技能実習の要件を引き継ぎつつ、いくつかが追加されました。主なものは次のとおりです(出入国在留管理庁)。
養成講習は、施行後当分の間、技能実習制度の講習で代替される予定です。指導員と生活相談員の講習受講は、技能実習では加点要素でしたが、育成就労では義務になります。
報酬は、日本人が同じ業務に従事する場合と同等以上でなければなりません。外国人材であることを理由に、報酬などで差別的な取り扱いをすることも禁じられています。
費用面では、次の点が企業の負担になります。
日本語については、3年間のうちにA2相当の講習を100時間以上受講する機会を提供する義務があります。
給与の税務も変わります。技能実習生の一部は租税条約で給与が免税でしたが、育成就労外国人の給与は原則として課税対象です(国税庁)。給与計算の担当部署と早めに確認してください。
あります。受入れ人数枠は、常勤職員数に応じて決まり、1年目から3年目までの合計に対する上限です。常勤職員数には、育成就労外国人と技能実習生は含めません。主な区分は次のとおりです(監理型の場合)。
| 常勤職員数 | 一般の実施者 | 優良な実施者 | 優良な実施者(地方・優良な監理支援機関) |
|---|---|---|---|
| 301人以上 | 常勤職員数の15% | 30% | 45% |
| 201人から300人 | 45人 | 90人 | 135人 |
| 101人から200人 | 30人 | 60人 | 90人 |
| 51人から100人 | 18人 | 36人 | 54人 |
| 31人から40人 | 12人 | 24人 | 36人 |
| 9人から30人 | 9人 | 18人 | 27人 |
| 5人 | 9人 | 15人 | 16人 |
| 1人 | 3人 | 4人 | 5人 |
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について(概略図)」8ページから抜粋。常勤職員数には、特定技能など他の在留資格の外国人は含みます。
「地方」とは、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県を除く道県と、この8都府県の過疎地域などを指します。施行日後も技能実習を続ける1号・2号の技能実習生は、この枠の計算で育成就労外国人として数えます。
育成就労では、同じ業務区分の中であれば、本人の意向による転籍が認められます。条件は、分野ごとの転籍制限期間を過ぎていること、一定の技能と日本語能力の試験に合格していることなどです。
転籍制限期間は、分野ごとに1年又は2年と定められています。
| 転籍制限期間 | 分野 |
|---|---|
| 2年 | 介護、建設、造船・舶用工業、自動車整備、外食業、工業製品製造業、飲食料品製造業、資源循環 |
| 1年 | ビルクリーニング、宿泊、農業、漁業、林業、木材産業、鉄道、リネンサプライ、物流倉庫 |
出典:出入国在留管理庁「分野別運用方針の主要な記載事項」。
2年の分野でも、企業の判断で1年とすることができます。1年を超える期間を設ける場合は、昇給など分野別運用方針で定める待遇の向上措置が必要です。
転籍先の企業には、次のような条件があります。
初期費用の補填額は、告示で定める額に按分率をかけて計算します。按分率は、転籍元での就労期間が1年6か月未満なら6分の5、2年6か月以上なら4分の1です。転籍の可能性を前提に、定着のための待遇や育成計画を考えておくことが大切です。外国人材の定着については、「外国人社員が定着しない理由」も参考にしてください。
施行日の時点で在留している技能実習生は、引き続き認定済みの計画で技能実習を続けられます。技能実習から育成就労に切り替わるわけではありません。
施行日以降の扱いは、次のとおりです(出入国在留管理庁)。
監理団体の許可の有効期限が施行日後に切れる場合は、更新が必要です。ただし、監理支援機関の許可を受けていれば、技能実習の一般監理事業の許可を受けたものとみなされます。
施行日までに必要な準備を、時期の順にまとめました。分野によって準備状況が異なるため、所管省庁の公表状況を必ず確認してください。
| 時期 | 企業がやること |
|---|---|
| 今すぐ | 受け入れる分野と業務区分を確認し、分野別運用要領と審査基準の公表状況を確認する |
| 今すぐ | 分野別協議会(工業製品製造業はJAIM)への加入手続を進める |
| 今すぐ | 取引のある監理団体が、監理支援機関の施行日前申請を済ませたか確認する |
| 今すぐ | 送出国が協力覚書を作成済みか、推薦状が必要な国かを確認する |
| 開始予定日の7か月前から5か月前 | 育成就労計画の施行日前申請を行う |
| 2027年3月31日まで | 技能実習で受け入れる場合の、最後の計画認定申請の期限 |
| 2027年4月1日以降 | 計画の審査結果が順次郵送で届き、受け入れが始まる |
監理型で受け入れる場合、計画の申請には、監理支援機関の許可申請の受理票の写しが必要です。監理支援機関が許可されなければ、計画も認定されません(外国人技能実習機構)。
申請時期の例として、2027年6月1日に開始する場合は、2026年11月1日から2027年1月1日までに申請します。2027年4月1日の開始を予定している場合、申請期間は2026年11月1日までで、残りはわずかです。
分野別の準備状況(2026年10月28日時点)は、次のとおりです(出入国在留管理庁)。
審査基準の公表前や、協議会への加入を証明する書類がないまま申請した場合、審査は保留になります。
送出国にも注意が必要です。育成就労では、原則として協力覚書(MOC)を作成した国からのみ受け入れます。2026年10月28日時点で公表されている協力覚書は、ウズベキスタン、スリランカ、タイ、バングラデシュ、東ティモール、ラオスの6か国です(出入国在留管理庁)。
協議中の国でも、暫定送出機関リストが公表されていれば施行日前申請ができます。インドネシア、カンボジア、キルギス、ベトナム、ラオスについては、推薦状が必要です。送出国の公的機関が対象者ごとに作成したものを、申請時に提出します。
同じ2027年4月1日には、不法就労助長罪の法定刑も引き上げられます。現在の3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金(併科あり)が、5年以下又は500万円以下になります。在留カードの確認手順も、あわせて見直しておくと安心です。詳しくは「外国人雇用管理指針の改正(2026年)」をご覧ください。
2027年4月1日です。監理支援機関の許可は2026年4月15日から、育成就労計画の認定は2026年9月1日から、施行日前申請を受け付けています。
原則3年です。特定技能1号への移行に必要な試験に不合格だった場合は、最長1年の範囲で在留の継続が認められる方針です。その後は特定技能1号で通算5年、特定技能2号に移れば更新の上限なく働けます。
原則として帯同できません。家族の帯同が認められるのは、特定技能2号に移行した後です。
入国時の要件ではありません。就労開始前までに、A1相当の試験に合格するか、認定日本語教育機関などでA1相当の講習を100時間以上受講すれば足ります。
農業と漁業の分野に限り、派遣元と派遣先が共同で計画の認定を受けることで可能です。それ以外の分野では、直接雇用が必要です。
必要ありません。施行日に在留中の技能実習生は、技能実習制度のルールで実習を続けます。技能実習から育成就労へ移行することはできません。
育成就労は現場の人材を育てる制度です。専門的な業務を担う外国人材の採用をご検討の場合は、Atarashiftで、日本で働きたい外国人材に直接アプローチできます。外国人材の雇用の全体像は、「外国人雇用状況(2025年10月末)」もあわせてご覧ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の案件についての法的助言ではありません。分野ごとの運用要領は順次公表・改正されています。申請の前に、最新の情報を出入国在留管理庁と外国人技能実習機構の資料でご確認ください。情報は2026年10月28日時点のものです。
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